北森隆士, 先回、診察室で相談の多い、目が赤くなるケース"充血だけじゃない!犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説”について解説しました。今回は、その次によく見られる、目が白くなる疾患についてお話します。, 一般的に、目が白くなる箇所は、角膜(Cornea)、水晶体(Lens)、前眼房(Anterior Chamber)の3箇所です。図は人の目の図ですが、犬猫と仕組みは変わりません。, 写真は猫の目ですが、外の透明な膜が角膜、黒い部分が瞳孔(Pupil)で中に水晶体があります。黄色い部分が虹彩(Iris)です。角膜と、瞳孔・虹彩部の隙間が、前眼房です。, 目が白くなる箇所である角膜・水晶体・前眼房のなかで、最も多く見られるのが角膜です。角膜は、障害を受けると白く濁りますが、その原因はさまざまです。, 最もよく起こりうるのは、乾燥性角結膜炎などの炎症です。いわゆるドライアイで、悪化すると角膜が薄く白くなります。, 特に短頭種のように、目が出ている犬の角膜中央部には、他の犬種に比べて刺激を受けやすいと考えられます。しばしば慢性の刺激や乾燥で、角膜の変性が起こることではん痕化して白くなります。, 目が受けた障害の程度が強いと、一気に角膜が白くなります。中央部のくぼみは外傷によるものです。, 慢性的に目周辺の毛による刺激を受けることで、角膜が白くなります。写真の緑色の液体は、傷を染める特殊な色素になります。, 両目が白くなる場合は、角膜に由来することが多いです。角膜由来の病気を下記にて説明していきます。, 両目に見られる限局性の疾患です。犬種特異的に、なかでも若い犬でよく見られます。無症候のことが多いので気付きにくいです。, 両目全体に見られる疾患で、犬種特異的に、なかでも中高齢期以降の犬でよく見られます。現在のところ、明確な治療法はありません。外傷など、刺激を与えることで悪化させないように注意しましょう。, 高齢期の犬の内科的な疾患(甲状腺機能低下症、高脂血症、クッシング症候群、高カルシウム血症など)に併発して見られる、角膜の障害です。こちらの症例写真は、甲状腺機能低下症を伴う犬の角膜の潰瘍です。, 水晶体は目の中央に位置し、ピントを合わせるレンズの役割をしています。目の中央が白くなると、水晶体の疾患である可能性が高いです。, 白内障は水晶体(黒目の部分)が白く濁る疾患です。進行すると視覚を失います。当院では、手術が可能な状態であれば専門医による手術をすることをおすすめしています。放置すると、ぶどう膜炎を起こしたり、緑内障の原因となったりします。手術をしない場合には、抗炎症薬などの投薬治療がなされることとなります。, 白濁が、水晶体全体を覆っています。極めて進行した白内障で、視力回復を望むのは難しい場合がほとんどであると考えられます。, 糖尿病を羅患している猫の症例です。白内障が進行し、水晶体がほとんど濁っています。ここまでになると光しか感じない失明状態で、視力回復は望めない可能性が高いです。, 白内障が進行し始め、水晶体に白濁がかかり視界を遮ってきた状況です。視界がかすみ始めていると考えられます。, 水晶体(黒目)が、全体的に均一に青白くなり、水晶体の成分の密度が上がる現象です。白内障とは違い、視覚は保たれるので治療対象ではありません。6歳以上の多くの犬で見られ(※)、両眼性で、加齢とともに進行します。犬猫ともに見られ、白内障が併発することもあります。, 角膜の後ろ側にある前眼房が白くなると、目のあちこちが白く見えることがあります。原因としては、下記の2つが考えられます。, ぶどう膜炎で見られます。ぶどう膜炎は、感染症、免疫病、白内障など様々なケースで起こります。ぶどう膜炎は失明の原因にもなるので、早期発見が重要です。炎症産物が前眼房の下に沈殿していることもあります。, 写真の症例では、黒目の下側にある三日月のような形の白い塊が沈殿物です。緑色の液体は、傷を染める特殊な色素になります。, 糖尿病や高脂血症で見られます。稀に血中の脂肪成分が角膜と瞳孔・虹彩部の隙間にある前眼房に混入し、全体的に白く濁ったり、血液も混ざったりすることがあります。, 角膜が、円錐状に突出する疾患です。専門医による診断・治療が必要なので、主治医に直ちに紹介してもらいましょう。, これまでは、全て白くなってはいけない個所が白くなった疾患をご紹介しました。番外編は、普段は隠れている白いものが出現する疾患です。, 犬猫は、体調が悪いときに、目頭に位置し普段は隠れている瞬膜(第三眼けん)が突出する場合があります。, 感染症で、結膜浮腫(腫れた状態)が見られることがあります。黄色~乳白色の目やにがたくさん出ることもあります。子猫の場合、感染症の炎症が長引くと上下の結膜が癒着することがあります。, 目の異常は、日々接している飼い主さんが気がつかないと、病状が進行してしまう可能性があります。早期発見による、早期治療を心がけてくださいね。, ※ Jan Bellows et al., Common physical and functional changes associated wuth aging in dogs.
病気になる遺伝子を増やさないためにも、発症した個体には交配をさせないという飼い主の配慮が必要です。, 角膜ジストロフィーについてご紹介しました。
発症は、若い犬にも老犬にも見られます。, 角膜ジストロフィーの主な原因は、外傷など二次的に発生することもありますが、遺伝によるものだと言われています。
症状が進行し日常生活に支障を来す場合は、角膜移植などの手術を行う場合もあります。, 原因が遺伝によるものが多いので、予防策もないのが現状です。
人間にも犬にも発症する「角膜ジストロフィー」。目の角膜に関する病気です。この病気は、遺伝要素が強い為予防策がなく、治療法も確立されていませんが、目の不調による危険防止の為にも早期発見が求められます。この記事では、そんな「角膜ジストロフィー」についてご紹介します。 水分が溜まって変形してしまうケースもあります。
この度のジストロフィー、角膜変性、角膜浮腫、角膜潰瘍、核硬化症(老眼)などがありそれぞれ対応が異なるので鑑別が必要です。 ジストロフィーの治療 治療は、角膜炎を伴わなければ、必要とされません。重症であれば、角膜表層切除も勧められます。 好発症犬種は以下のような種類が挙げられます。, 角膜ジストロフィー専門の治療法は、現在確立されていません。
人間にも犬にも発症する「角膜ジストロフィー」。目の角膜に関する病気です。この病気は、遺伝要素が強い為予防策がなく、治療法も確立されていませんが、目の不調による危険防止の為にも早期発見が求められます。この記事では、そんな「角膜ジストロフィー」についてご紹介します。, 日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。, 角膜が白く濁る「角膜ジストロフィー」。
日頃から愛犬の状態をよくチェックし、異常が見られた場合にはすぐに獣医師に相談しましょう。, また、こういった遺伝病はその遺伝子を持った個体の繁殖によりどんどん増え、特に日本では蔓延していると言われています。
痛みや痒みはなく、失明の可能性も低いのが特徴です。
犬種の区分については、「ペット保険取り扱い犬種分類表」をご覧ください。, ※1 両親の犬種がともにわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。 片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。, 動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。. 北森隆士, 千葉県茂原市で開業。高度医療機器の導入、各種専門家とのコネクションを生かし、幅広い獣医療ニーズに応えるべく日々格闘しています。心臓病や皮膚科の研究に力を入れ、国内はもとより海外へ論文を発信しています。現在、心臓関係は、3D心臓エコー、11誘導心電図、ホルター心電図、LP計測などの検査の導入や、循環器専門病院や国立循環器病センターの研究者と共同で遺伝子研究を実施しています。皮膚科は、ダーモスコピーや皮膚科エコー検査等を導入し、新しい皮膚科診断法の開発を夢見ています。多くの犬猫との生活、日々の診療、研究に充実した毎日です。, 【獣医師執筆】気付かないと失明する恐れも…! 発症原因としては遺伝や加齢によることが多く、他の眼病を併発することもあります。, 一方で、角膜ジストロフィーの場合は黒目よりも外側の膜が濁り、それは部分的。
点眼薬を処方される場合もありますが、犬に痛みや不快感はなく失明もほぼしないため、様子見になることが多いようです。
あまり重症にはなりませんが、愛犬の目をよく観察し、早く異常に気づいてあげることが必要です。
角膜(※)に白濁が生じ、これにより直接視力に影響することはないですが視界に影響を及ぼします。
?犬猫の「目が白い」ときに考えられる原因.
犬の角膜ジストロフィー(角膜変性症)という病名を聞いた事がある飼い主は少数だと考えます。犬の眼の病気は白内障が最もメジャーで知られていますが、角膜ジストロフィーについては長年犬を飼っていても詳細がよく分かりませんでした。今回は角膜ジストロフィーについて述べていきます。, 山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。, 犬の角膜ジストロフィーの主な症状は角膜に白い粒が集まったような白濁が見受けられる点が特徴的です。, 片目だけに白濁が見られる場合もあれば、両目に白濁が出現する場合もあります。症状が進行すると、白濁が広がりますが角膜全体に広がることは稀です。青っぽい色で覆われているように見えるのも角膜ジストロフィーの症状の一つです。, しかし、犬の角膜に白濁が見られるだけでは白内障などの他の眼の病気と区別が付きにくいです。, 白内障との決定的な違いは白内障は黒目の中心部分にある水晶体が徐々に白濁していきますが、角膜には変化が現れません。一方、角膜ジストロフィーは角膜の表面が部分的に白濁しますが、水晶体の白濁はありません。, また、角膜ジストロフィーの場合は失明には至る事がないので、周囲が全く見えなくなり犬の日常生活に支障が出る事はありません。白内障は水晶体が白濁していきますので、徐々に見えなくなっていきます。, 白濁の位置や出現場所によって、ある程度犬の角膜ジストロフィーは見分ける事が出来るので、知識として犬の飼い主には認知してもらいたい症状のひとつです。, 遺伝性の疾患であるため、犬種によって発症しやすい犬が存在します。以下の犬が最も角膜ジストロフィーを発症しやすい犬種です。, 特に親犬が角膜ジストロフィーに罹患しているかどうかで発症確率が変動するので、発症しやすい犬を飼っているからといって、過度に心配する必要はありません。, したがって病気の予兆や症状が見受けられた後の治療となります。予防策もない上に治療方法も確立されていません。, 犬の角膜ジストロフィーの症状が見られたからといって点眼薬や軟膏などが処方されても、病気の解決策にはならず角膜ジストロフィーの進行を遅らせるのみの処置となります。, 犬の日常生活に支障が出る場合には角膜除去手術を執り行う場合もありますが、手術をしても角膜ジストロフィーの病気が再発する可能性の方が高いので、緊急性がない限り手術という選択肢にはなりません。, 完治が難しい犬の角膜ジストロフィーですが、インターネット上では消えた事例もいくつかあります。, そのほとんどが、放置していたら、いつのまにかなくなっていたケースと、ビタミン剤を投与したケースです。, 角膜ジストロフィーはカルシウムとコレステロールが溜まり、犬の角膜を覆う病気なので、ビタミン剤の投与によって長い時間をかけ、治した飼い主も多く存在します。, 治療方法が確立されていない犬の角膜ジストロフィーですが、方法の一つとしてビタミン剤の投与も視野に入れると良いと考えます。しかし、必ず病気を治す手段ではないので、注意してください。, 犬の角膜ジストロフィーは遺伝性の病気のため、他の疾患のように、防ぐ手段がありません。また治療手段もないため、犬が病気を発症してしまったら落ち込む飼い主も多いと考えます。, しかし、角膜ジストロフィーは失明にまで進行しません。加えて犬は、たとえ著しい視力の低下に遭遇しても、耳や鼻があるので日常生活に支障は出にくいと考えます。, どうしても犬の角膜ジストロフィーを治してあげたいと考える飼い主は、ビタミン剤を投与する手段が最も効果的な方法です。しかし病気の完治率は著しく低いため、試す場合は自己責任となります。, ※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。, 快適にわんちゃんホンポの記事が読める!見やすいカテゴリでみたいジャンルがすぐ見つかる。飼い主と愛犬のための犬専用アプリ。, 犬のために、犬の気持ちを知り、犬と共に暮らす。わんちゃんホンポは、あなたとわんちゃんの共同生活に色付けをする犬専門の情報サイトです。, この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。. Copyright ©犬の病気・症状・健康の教科書All Rights Reserved. ©Copyright2020 ペット保険ラボ.All Rights Reserved. 獣医師
症状は、片目だけに現れる場合も両目に現れる場合もあります。, 先述のように、角膜部分が白く濁ることが主な症状です。
犬の角膜内皮ジストロフィー(かくまくないひじすとろふぃー)とは、眼球内にある内皮細胞数や細胞自体に問題が生じることにより、角膜実質の脱水性を保てなくなって角膜が混濁してしまう状態のことをいいます。, 中年齢で発症することが多く、最初は局所的でも緩やかに全体に混濁が広がっていき、片目から最終的には両目が白濁していきます。, 進行すると角膜内の水分留意が水膨れとなり、その水泡が角膜表面に達して破裂すると痛みの伴う角膜潰瘍が形成される場合もあります。, 角膜内皮細胞に障害が起きることによって、浸透圧調節機構の破綻が生じ、結果として角膜に浮腫が生じる為だと考えられており、特定の犬種に多く見られることから、遺伝の関与が原因と考えられています。, 局所治療では完治できませんが、高浸透圧性の軟膏(5%塩化ナトリウム)を角膜表面に塗布することで角膜内の余分な水分をくみ出すことに役立てられます。, 投与回数は症状によりますが、内皮細胞の損失を助長するぶどう膜炎を抑える消炎剤を使用したり、潰瘍がみられる場合は局所抗生物質点眼液を処方されることもあります。, また、角膜の水泡や瘢痕形成が頻繁にみられるようであれば、レーザー角膜形成術、加熱角膜形成術が行い、これにより角膜内に瘢痕組織を作ることで角膜表面に水泡が到達するのを防ぎ、新たな潰瘍形成をさせない効果が見込めます。, 遺伝性なので予防は難しいですが、日頃から犬の様子を確認し、異常がみられたら速やかに受診をするようにしましょう。, ペット保険の会社は日本に15社以上あります。全てを比較するのは大変ですよね。ペット保険ラボでは、厳選7社のペット保険を徹底比較できるようにしました。.